2008年12月10日

ドル円は上値重いものの、下値リスクは低下                   アナリストレポート 商品市場(「為替」・12/10発行分)

商品(Commodity)アナリストレポートに11月から「為替」も加わっている。今回はそのサンプルを掲載する。

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(12月10日発行分)
ドル円は上値重いものの、下値リスクは低下〜 LIBORの低下は金融不安の後退を反映する 〜アナリスト 陳 晁熙


・米雇用統計は予想通り大幅に悪化しており、1974年以来の大幅な減少となった。しかし、NYダウは悪材料の出尽くし感と底打ち期待から、一気に500ドル以上の反発となって終了、今週に入っても底堅く推移し、8,500ドル上回って推移している。注目されていたビッグスリーの救援策は実現されるが、支援要請額340億ドルを大きく下回り、150億ドルに留まる見込み。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、FRBの権限の領域から逸脱することを意味するため、この問題は議会で解決されるのが最良だと述べ、金融支援には「極めて消極的」との姿勢を示した。結局、今回の措置は「つなぎ融資」にとどまり、経営の抜本的改善には繋がらない一方、今後リストラ策実施などで米全体の雇用情勢にも悪影響が及ぶことは避けられないことが予想されるため、問題先送りの色彩が強く、NYダウの上昇にもかかわらずドル相場(特に対円で)が伸び悩んでいる。

・一方、LIBORは11月から急激に低下し2.2%以下の水準に落ち込みピークから50%以上も下落した。10月に起きた流動性危機はひとまず去ったといえよう。ただし、米自動車業界の救済の難航、住宅関連の落ち込み、雇用環境の悪化などが重複しているため、ドルへの信任はなかなかムード的にも回復せず安全資産への資金逃避は継続している。それが93円を割り込む円高に表れている。

・金融危機の深刻化を受けFRBは利下げを継続し、FF金利は1.0%にまで低下したが、11月には誘導目標からさらに下振れており、名目金利は限りなくゼロに近づいている。12月15、16日にFOMCが開催されるが、市場ではすでに0.5%までの利下げを織り込んでいるようだ。とはいえ、FF金利が既に0.5%以下で推移しているため、サプライズがない限り大きな変化はないだろう。そんな状況で、FRBは10月より準備預金に対する金利付与を開始したが、これは利下げから通貨供給量の増加、つまり量的緩和へと政策が移行していることを意味している。LIBORの低下は、流動性供給のリスクが低下し、マーケットでの信任が回復しつつあることを示し、危機感の後退からリスク許容度が高まってきていると思われる。12月に入ってからのクロス円が底堅く推移しているのも、その表れだろう。

・各国の利下げに続き、米国でも追加利下げ必至で、金利格差縮小に伴い円キャリートレードの巻き戻しに伴い円高が進行してきたが、日本経済でもトヨタ、ソニー、キャノンといった世界的な優良国際企業の低迷が明らかになり景気減速が確実となるだけに、リスク回避の円買いにも限界が出てきたということだろう。

・次回のFOMCで注目されていることに、FRBによる米国債の買い入れがある。オバマ次期政権では5,000億ドル程度の景気対策を検討中だが、既に金融安定化法案で7,000億ドルの支出が打ち出されており、急激な財政支出が拡大することで長期金利上昇を招き、景気回復に水を差しかねないとの懸念がある。そこで、FRBが米国債を買い取ることで、長期金利の上昇を抑える措置が取られるのではないかとの観測が出ている。

・ドル暴落の最悪のシナリオは、米株・ドル・米国債のトリプル安が同時に起きる場合だが、LIBORの低下や金融株の回復に伴うNYダウの底堅さに加え、米国債の買い支えが予想されるため、ドルの全面安は回避されそうだ。

・ドル円の週足チャートを見ても、52週移動平均線との乖離率に逆行現象が起きている。これは、価格が下がったにもかかわらず乖離率は上昇しており、底入れを示唆する現象だ。過去のパターンを見ても底入れ、天井形成時の両方に出現しており興味深い。90円を割り込み、1995年の80円割れを試す展開は遠のいたといえるだろう。

(了)

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wildernesswolf at 22:08│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!Commodity(商品) | 経済・社会

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